ビール時報

富江弘幸(ビールライター)公式サイト

ビールの旬は夏ではない、と誰かが言った。

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言ったのは私です。

 

いきなり読む気が失せる出だしで申し訳ございません。

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旬とよく食べられる時期が異なるもの

どんな食材にも旬というものがありまして、旬ってのはその時期が一番おいしくいただけるというものです。でも、その食材の旬と、よく食べられる時期ってのは一致していないこともあるんですよね。

 

例えば、ウナギ。

 

そもそも秋冬がウナギの旬であって、夏はウナギが売れない時期でした。困ったウナギ屋が平賀源内に相談したところ、土用の丑の日に「う」がつく物を食べると夏バテしないなんていうキャッチコピーを作って大繁盛(諸説あり)。

 

それ以降、200年以上もの間、平賀源内の影響を受けているわけです。「う」がつくのであれば、うどんでも梅干しでもいいわけですが、なぜかウナギだけが選ばれているんですよね。ビール好きは、土用の丑の日にウルケル(ピルスナー・ウルケル)を飲みましょう。

 

もうひとつは、カボチャ。

 

冬至にカボチャ食べますよね。夏が旬にも関わらず。これについては、中国留学していたときに中国人から聞かれたことがあるんです。

中国人「日本は冬至にどんなことやるの?」
私「カボチャ食べるね」
中国人「は? 夏の食べ物なのになんで冬に?」
私「知らんがな」

なんて感じの微笑ましい日中食文化交流がありました。

そうやって指摘されるまで気づかなかったんですが、確かにその通り。調べてみると、冬に不足しがちな栄養分がカボチャにあるようで、カボチャを保存して冬に食べる、ということからきているそうで。ビール好きなら、パンプキンエールを飲みましょう。

 

さて、本題。じゃあビールはどうなんだという話です。

 

ビールの旬は秋だ

一般的には夏っていう印象でしょうね。暑い日にピルスナーをゴクゴクぷはーってのが最高なんじゃないでしょうか。

 

だがしかし。

 

ビールの旬は秋説を提唱したい。

 

というのは、ビールの原料のひとつであるホップの収穫が夏なんですよね。早いところでは7月から、遅ければ9月前半まで収穫します。

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ホップは主に苦味と香りをビールに付けるために使われるんですが、香りは時間が経つにつれてどんどん揮発していってしまうんです。なので、香りが損なわれないように、ホップを収穫後すぐ乾燥させて保管するんですけど、フレッシュなホップの香りはなくなってきます。

 

例えて言うならば、新鮮なブドウと干しブドウの違いってところ。どちらもおいしいのですが、干しブドウには新鮮なブドウのみずみずしさがありません。ホップでもそんな感じ。

 

なので、夏の時期がホップの旬だと言えるんじゃないでしょうか。では、ビールも夏ではと思われるかもしれませんが、ビールを醸造するには1〜2カ月程度の時間が必要です(銘柄にもよります)。

 

となると、夏が旬のホップを使ったビールは秋にできあがる。

 

そういうことです。ビールの旬は秋なのです。

注:すべてのビールが、この時期はとれたてのホップを使用しているわけではありません。

 

とれたてホップを使ったビール

ちなみに、今年も私はホップ収穫という名の見学に行っています。

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ホップを割って香りを嗅いでみると、青々としていてみずみずしい香りがあるんですよね。華やかで。ただ、これをビール自体の香りに反映するのはなかなか難しいんです。その問題はいろいろあるんですが、ここでは省きます。

 

しかし。

 

この時期ならではの、フレッシュなとれたてホップを使ったビールというのがあるんですよね。いくつか紹介します。

 

【2017年】一番搾り とれたてホップ生ビール 350ml×24本

【2017年】一番搾り とれたてホップ生ビール 350ml×24本

 
サントリー ザ・プレミアム・モルツ 初摘みホップ ヌーヴォー 350ml×24本

サントリー ザ・プレミアム・モルツ 初摘みホップ ヌーヴォー 350ml×24本

 
サンクトガーレン YOKOHAMA XPA 3本 ( 2017年夏収穫 生ホップ使用 IPAビール )
 

 

これらを普段売られている同じ銘柄(一番搾り、ザ・プレミアム・モルツ、YOKOHAMA XPA)のビールと飲み比べしていただければ、違いがわかるんじゃないかと思います。

 

これらは数量限定ですからね。発売している間だけですよ。

 

フレッシュなホップを使ったビールが飲めるのは

さらに、缶やボトルで飲むのもいいんですが、樽でしか飲めない旬のビールがあるんです。そんなビールを飲めるのが、フレッシュホップフェストというイベント。

イベントというか、フェアというほうがイメージとしては近いかもしれません。1カ月間続くイベントで、フレッシュホップフェストに参加しているビアバーだけで飲めるビールがあるんです(店によって異なります)。

 

その開幕が9月22日で、初日にスプリングバレーブルワリー東京でレアなビールを飲んできました。

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スプリングバレーブルワリー東京では、レギュラーのビールに加え、フレッシュホップを使ったビールを3種類出しています。

「フレッシュホップ 藤原ヒロユキスペシャル」「生ホップ超特急2017 IBUKI」「生ホップ超特急2017 MURAKAMI SEVEN」の3種。

 

いやあ、これがどれもうまいんだ。

 

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好みだったのはこちらの「フレッシュホップ 藤原ヒロユキスペシャル」。苦味が少ないペールエールといった感じで、ホップの華やかな香りとモルトの甘味が合わさって何とも言えないうまさ。

暑い日にゴクゴク飲むのもいいんですけど、こんなビールをゆっくり飲む秋って、最高なんじゃないですかね?

 

こんなビールを飲んだら、やっぱりビールの旬は秋だ、と思うんです。断然、秋です。

 

私からは以上です。本日はありがとうございました。

 

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