ビール時報

富江弘幸(ビールライター)公式サイト

上品さが求められる一杯(一番搾り 神戸づくり)

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上品さが漏れ出している私です。

2016年の「一番搾り ◯◯づくり」と2017年のそれを読み比べる(&飲み比べる)という超大人気連載も今回で3回目。過去2回を見逃してしまった! という方は、この機会にぜひご覧いただきたい。

抱腹絶倒、空前絶後、一刀両断、快刀乱麻、驚天動地、焼肉定食な記事はこちら。

 

さて、ハードルも上げきったところで、今回は「一番搾り 神戸づくり」です。

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参考資料として、昨年の「神戸づくり」についての記事も読んでおいていただけるといいかと思います。

 

缶裏メッセージ比較

では、缶裏メッセージの読み比べを。

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2016年はこちら。

新しいものを上手に取り入れる。
神戸の人が楽しめるビールを。
工場のみんなで、地元のことを語り合いました。神戸の人のしあわせな時間に、一番似合うビールをつくるために。兵庫県産山田錦の上品なうまみと、華やかな香りがひとつになった一番搾り。神戸だけの特別なおいしさを、ぜひ。

そして、2017年はこちら。

神戸らしい、香り華やぐ上品な一杯。
地元のことを、兵庫の皆さまと語り合って生まれた一杯です。兵庫県産山田錦の、すっきりとしたうまみと、フルーティで華やかな香りを、一番搾り製法でていねいに引き出した上品な味わい。新しいものを上手に取り入れる神戸の人に楽しんでほしい、特別な一番搾りです。

 

はい。1行目のキャッチにあたる部分が変わっています。

「神戸の人が楽しめるビール」というのは当然のこととして、「香り華やぐ上品な」ビールということを主張したいわけですね。それについては、2016年でも「華やかな香り」とありますので、基本路線は同じではないかと思われます。

 

検討したいのは味わいの表現です。双方ともうまみと香りについて言及しています。

兵庫県産山田錦の上品なうまみ(2016年) → 兵庫県産山田錦の、すっきりとしたうまみ(2017年)
華やかな香り(2016年) → フルーティで華やかな香り(2017年)

まあ、文字面だけでの比較なので、実際はどうかわかりませんが、これだけを見ると、「すっきりさせて、フルーティさが増した」と受け取れます。

どうなんでしょうか。

昨年の自分のインプレッションはこう書いています。

米のスッキリ感もありながら、甘味と酸味のバランスが抜群ですね。苦味は控えめですが、全体的に完成度の高い味わいになっていると思います。

はい。昨年の記事タイトルもそうですが、結構ほめてます。では、今年はどうなのか。飲んでみましょう。

 

2017年はすっきりと

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柑橘系の軽いアロマを感じますね。昨年よりフルーティさという意味では増している感じもありますが、香りは軽めです。

モルト感は控えめ。すっきりしています。「兵庫県産山田錦の、すっきりとしたうまみ」ってのはこのことなのかと思ったりしますが、どうなんでしょうか。

 

昨年は甘味と酸味のバランスが抜群という印象でしたが、今年はどうやら「すっきり」にシフトしたような感じがします。甘味はそこまで感じません。上品さという意味では今年のほうが感じられるかもしれませんね。

 

と、偉そうに書いて、実は昨年とレシピは変わっていないなんてことだったら大恥ですが……。

ま、基本的に毎日恥ずかしいことばかりですけどね。

ということですので、これを読んでいる方は参考程度の情報だと思ってください。これまでに書いた「北海道づくり」「横浜づくり」もレシピが変わっているかどうかの確認はしていません。が、「北海道づくり」も「横浜づくり」もすっきり系にシフトしている印象ですね。

 

さて、この「神戸づくり」はどんな料理と合わせればいいものか……と、神戸のご当地グルメを思い出してみるものの、そばめししか出てきません。

まあ、すっきりした味わいに変わってきているし、そばめしもいいんじゃないかなと思うんですけどね。

 

でも、上品ではないかなあ。ビールと飲んでいる人は上品なんだけど。