赤でも緑でもない第三極ビール(グランドキリン WHITE ALE)
「赤い小池と緑の小池」というキャッチコピーが私の中で話題だ。
このキャッチコピーが書かれたツイートを見て、「これは秀逸!」と唸ってしまった。実際にはキャッチコピーでもなんでもなくて、これを思いついた人はただ面白いことが言いたいだけだったんだと思うけれども。
これは何が秀逸なのか、解説は必要だろうか。一応、念のため解説しておこう(必要ない方は、5段落後の「さて、」まで読み飛ばしてほしい)。
「赤いきつね」と「緑のたぬき」という、マルちゃんのカップ麺がある。この「きつね」と「たぬき」の部分を「小池」に変えたものなのだが、「赤い小池」とは日本共産党の小池晃書記局長のことで、「緑の小池」とは希望の党の小池百合子代表のこと。
これは、共産党は赤を、小池氏は緑をテーマカラーにしているから(テーマカラーと言っていいのかどうかはわからないが)。今回、小池百合子都知事が、国政政党「希望の党」を立ち上げて党代表となったことで、10月22日投開票の衆議院議員選挙で「赤い小池」と「緑の小池」が相まみえることになったわけだ。
といっても、「赤の小池」は参議院議員だし、「緑の小池」は都知事で今回の選挙には出馬しないし、政党はほかにもあるし、ということで、やっぱり単に面白いことを言いたいだけなのである。だがしかし、なかなか秀逸だ。
と、今回の選挙から投票できるようになった18歳にもわかるように解説したつもりだが、ここからは18歳は味わうことができないビールの話。18歳はビールが飲めるようになるまで、このブログでビールの素晴らしさとオトナの愚かさを学んでもらいたい。
さて、ビール界に目を向ければ、キリンビールが販売しているブランド「グランドキリン」にも赤と緑がある。
「赤いキリン」と、
「緑のキリン」だ。
しかし、ここで注目したいのは赤でも緑でもない、もうひとつのグランドキリン。「白のキリン」だ。
赤と緑のグランドキリンは2017年1月から通年商品として販売しているが、「白のキリン」は9月26日から販売開始されたもの。いわば新党である。
なお、赤も緑も白も、それぞれ缶でも瓶でも販売されているが、オススメは缶だ(缶はコンビニ限定販売)。日光を通さない缶は、瓶に比べて明らかに劣化が少ない。
さて、ホワイトエールと言えば基本的には小麦を使ったビールを指す。さらに言えば、ベルジャンホワイトというベルギー発祥のスタイルを指すことが多い。オレンジピールやコリアンダーを副原料に使い、フルーティーな味わいに仕上げた小麦のビールだ。
が、この「グランドキリン WHITE ALE」は、小麦麦芽を使っているもののオレンジピールやコリアンダーは使っていない。コピーに「白ワインのようなホワイトエール」とあるように、ベルジャンホワイトを目指したものではないようだ。
では、どんなホワイトエールなのかというと、「白ワインのような」フレーバーを造り出す「ネルソンソーヴィン」というホップを使ったもの。「ネルソンソーヴィン」はニュージーランドのネルソンというところで育種されたホップで、ソーヴィニヨンブランのような香りが出せることからその名前が付いた。
実際に「グランドキリン WHITE ALE」を飲んでみると、マスカットのようなフレーバーが感じられる。数行前にソーヴィニヨンブランだと言っているのに、マスカットなどと書いているのは、ソーヴィニヨンブランをよく知らないということではなく、庶民派だからであるとご理解いただきたい。
で、アルコール度数は5.5%だが、非常にすっきりとした口当たり。甘味と酸味も控えめで、苦味はほぼない。マスカットのようなフレーバーを楽しめる、軽やかなビールに仕上げている。実は、「緑のキリン」にもネルソンソーヴィンは使われているのだが、それよりもはっきりとマスカットフレーバーがあるように思う。
本日のビールは「 #グランドキリン WHITE ALE」。思ったよりも白ブドウっぽい香りが出ていてなかなか。https://t.co/DgvnPVOFfS pic.twitter.com/aoTnjEha38
— 富江弘幸_ビアライター (@hiroyukitomie) 2017年10月10日
赤と緑のグランドキリンは苦味も特徴のひとつにしているので、白は差別化ができている。赤と緑に次ぐ(次ぐというワケではないかもしれないが)、グランドキリンシリーズの第三極としての役割をしっかり果たしていると言ってもいい。
ちなみに、衆議院議員選挙で「白い小池」はいないようなのでご注意を。
※今回はいつもと文体を変えてみました。