ビール時報

富江弘幸(ビールライター)公式サイト

キリンさんちのいぶきちゃんを使ったペールラガー(グランドキリン JPL)

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チビチビ飲む私です。

グランドキリン IPA」を飲みました、という話を書いたのが1週間前。やっと飲めました「グランドキリン JPL」。

この春、グランドキリンがリニューアルして、年間をとおしたレギュラービールとして販売されるのが、グランドキリン IPA」と「グランドキリン JPL」。「グランドキリン IPA」については、こちらをご覧ください。

www.hiroyukitomie.me

グランドキリン IPA」は、タイトルにも書いたように「ネルソンソーヴィン」というニュージーランドのホップを使った苦いビールです。では、「グランドキリン JPL」とはどんなビールなのか。

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JPL」ってあまり聞かない言葉ですよね。「ジャパン・ペールラガー」とラベルには書いてありますが、これは「IPA(インディア・ペールエール)」が元になっているものです。

IPA」はエール酵母を使っていますが、これをラガー酵母で造ってみようというのが「IPL(インディア・ペールラガー)」です。ラガーはざっくり言うと、エールよりもすっきりめの味わい。IPLもIPAよりややすっきりしたもの、ということになってます(明確な味の決まりはありません)。

さらに「日本の感性を注ぎ込み、洗練させた」ものがJPLだそうです。

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では、日本の感性とはなんぞや、ということですが、具体的にはこんなところです。

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「国産麦芽使用」と「国産ホップ一部使用」。

さて、麦芽とホップ、ここではどちらがより重要なのでしょうか。個人的に重要だと思っているのは、断然ホップです。

なぜホップが重要なのかというと、麦芽は産地(銘柄)を変えることでビールのスタイルも変わるわけではありませんが、ホップは産地(銘柄)を変えるとスタイルも変わります。

IPAも、アメリカのホップを使えばアメリカンスタイルIPA、イギリスのホップを使えばイングリッシュスタイルIPAになります。

しかし、日本のホップによるジャパニーズスタイルというビールのスタイルは存在しません。ですが、この「グランドキリン JPL」には、その名前から日本のホップで新しいスタイルを創り出そうという意思が感じられます。

なお、ここで使っているホップは「いぶき」というキリンビールが育種した品種を使用しています(「キリン2号」と「かいこがね」という品種を合わせて「いぶき」ブランドとしている)。

これがその「いぶき」ちゃん(昨年、遠野のホップ畑に行ってきました)。

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「いぶき」ちゃんを割ってみると…

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こうなる。

中心のほうに黄色い粒があるんですが、わかりますかね。これがルプリンといって、ビールの香りと苦味のもとになるものです。

ちょっと話がホップのほうにそれましたが、「グランドキリン JPL」を飲んでみましょう。

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香りはレモンを思わせます。グレープフルーツ感もかすかにありますね。すっきりと透明感のある味わいで甘味は控えめ。最後に残る苦味が「グランドキリンIPA」よりやや強い感じがします。全体を通して、軽い柑橘系の印象が続きます。

最後に、グランドキリンでもどんなビールでもそうですが、ビールの飲み方についてひとつご提案。ビールといえばゴクゴク飲んで、喉ごしを楽しむなんていう飲み方をする人が多いと思いますが、ワインのように飲んでみてください。香りとモルトの旨味がより感じられます。ぜひ。