ビール時報

富江弘幸(ビールライター)公式サイト

2月3日、京都。坊主バー。

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中学時代は坊主頭だった私です。

今はそんな学校ないと思いますが、中学入学とともに男子は坊主頭になるのです。3年間ずっと。そんな校則があったのかどうかもわかりませんが(みんな疑問にも思わず坊主頭になっていた)、そんな時代を生きてきたわけです。

さて。

昨日のエントリで、京都に行った話を軽く書きましたが、もう少し詳しく書いていこうと思います。

京都に着くまでがお仕事です

2月3日(金)。仕事を15時くらいに切り上げ(といっても出張だから京都に着くまでが仕事だけどね!)、16時37分品川発ののぞみ49号に乗るために品川駅へ。

品川駅の新幹線改札って少し離れているんですよね。山手線や京浜東北線の改札から新幹線の改札に向かうまでに疲れちゃって、休憩が必要になったので新幹線改札上にあるアトレ品川でちょっと休憩。

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あ、きゅ、休憩ですよ。

アンテナアメリカの前の席しか空いてなかったので、仕方なく飲んでいるわけです。仕方なくです。仮にこれが狙ったものであったとしても、私のマジメな勤務態度の評価に影響を与えることはないか、軽微なものであると思われます。

とにかく、休憩して体力も回復して眠くなってきたので、新幹線に乗り込み京都まで爆睡です。

京都 たかばし 本家 第一旭で出鼻をくじかれる

京都駅に着いたのは18時半すぎ。泊まるホテルは四条烏丸から徒歩5分のところにあり、20時までにはチェックインする必要がありました(チェックイン自体はいつでもいいのですが、20時過ぎに電話やらメールやらの作業をする必要があったため部屋に入りたかった)。

動ける時間は1時間半。

どう動くかは、ある程度シミュレートしていました。まずは夕飯。京都駅の近くに「京都 たかばし 本家 第一旭」というそれなりに知られたラーメン屋があり、20分で食べた後、30分で二条城へ移動。すでに閉まっているので写真をバシバシ撮ったら、歩いて本能寺跡へ。これが約15分。ここでも写真をバシバシ撮ったら、歩いてホテルへ。これで10分。

こんな感じで行けるだろうと思って、まずは京都 たかばし 本家 第一旭」へ。大学時代に明大前で食べた記憶があり、懐かしみながら京都の旅をスタートさせようと、そういう魂胆です。京都駅からは徒歩5分くらい。

 

 

行列。

 

 

まあ、そうだよなあ、人気店だもんなあ…。懐かしみながらなんて思っていたら、いきなりの仕打ち(まあ自分の認識が甘かったのですが)。

ダッシュと地下鉄とダッシュを組み合わせて、二条城へ向かいます。

家康不在の二条城

二条城へ行きたかった理由は、「真田丸」。豊臣秀頼が二条城で徳川家康と面会し、ドラマでは「とよとみのひでよりである!( ー`дー´)キリッ」と言ったことで有名です。二条城会見から406年も遅刻しちゃったから家康もいないようで、写真だけ撮ってきました。

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本当は大坂城とか九度山とか佐和山とか、関西に来たら二条城より行きたいところはたくさんあるんですが、まあ時間もなかったので仕方ない。他に行くべき候補は六条河原(石田三成や大勢が処刑された場所)も考えられたのですが、醸造所に三成を連れていってしまうかもしれないリスクを考えると、行かなくてよかったかな、と。

いざ本能寺跡へ

で、二条城からはホテルへ歩いて行けそうな距離だったので、その途中にある本能寺跡にも寄ったのです。

醸造所へ三成を連れて行ってしまうリスクを想定できたにも関わらず、なぜか信長を連れて行ってしまうリスクについては想定できず、リスク管理の甘さについては否定できません。

しかし、これは仕方ないのです。

歴史上の人物で最も偉大なのは織田信長だからなのです!

むしろ連れて帰りたい。光秀のように殴る蹴るの暴行を受けるかもしれないけど、それはもう仕方ない。仕方ないのです。

そんなことを考えながら歩いていたら、着きました。実は、本能寺は移転していて、本能寺の変があった場所とは違うところにあります。本能寺跡というのはそういうことで、現在は特別養護老人ホームの敷地に「本能寺の変遺跡碑」があります。

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周囲は住宅街で、夜になると結構暗いのです。こんな感じ↑なんですが、時折車が通ってブレーキランプが点くと、本能寺の変遺跡碑」が真っ赤に染め上げられ、まさに今が本能寺の変なのかと錯覚するほど。

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ああ、信長公…。

と、ふざけるのはこれくらいにして、ホテルに向かわないといけません。そろそろ時間です。

説教を恐れながら坊主バー

ということで、本能寺跡からホテルへ向かって歩いていたわけですが、ふと横にこんな店が。

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箕面地ビールあります。」と書いてあるので反応してしまいました。よーく見ると、

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坊主バーじゃないですか!

確か四谷にも坊主バーがあり、一度行ってみたいと思っていたのですが、京都にも。というか、京都のほうが説得力ある!

とはいえ、ホテルには行かないといけません。ダッシュでホテルにチェックインし、仕事も終わらせ、坊主バーへ。今年一番の仕事の速さだったと思います。

ただ、ひとつだけ懸念点がありました。そもそも自分は人見知りで、坊主バーの店の前まで勢いで来たものの、店員(坊主?)とちゃんと話せるかどうかが不安だったのです。

「人見知りなぞ地獄へ堕ちよ! カァーーッ!」などと説教でもくらったらどうしよう、といった懸念です。「カァーーッ!」ってのはよくわかりませんが、勢いある坊主が言いそうな感じがします。

いや、でもここはせっかくだし行かねばなるまい。カァーーッ! という勢いとともに店に入ったのです。

オーセンティックな坊主バー

入ってみると、オーセンティックバーのような静けさがあり、店内は和の造りになっていましたが、坊主バーという印象のものではありませんでした。

カウンターの端の席に案内され、座って一息つくと、隣に座っていた女子二人の会話が聞こえてきます。「不倫がどうのこうの」という坊主バーにはあるまじき俗な会話。

聞いてはいけない。そんな俗世とは離れる一時を求めて坊主バーにやってきたのです。そして注文。

箕面ビールのW-IPAを」

俗な注文です。そもそも坊主がバーをやっていること自体が俗なのですから、もうこれは仕方ない。ソーセージも注文します。どうも隣から不倫の話が入ってきてしまい、ソーセージの注文を後悔したことを記しておきます。

そんな自分を落ち着かせてくれたのがコースター。

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落ち着きます。この上にグラスを置くのは気が引けます。仏様の上にグラスを置いていいのか。ああ。次の瞬間、店員さんが何の躊躇もなくグラスを置いていきました。まあ、コースターだから当たり前なのですが。

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ああ、うまい。

実はここまでの写真、「勝手に写真を撮るとは何事ぞ! カァーーッ!」と説教されそうなのが怖かったのですが、なんとかなるものです。そんなことをしていると、坊主が話しかけてきました。せせせ説教か! ビクビクしながら聞いてみると、「ビールお好きですか」と普通のバーのような会話。どうやら説教ではないようです。

話してみると、実はここの坊主(失礼)は京都醸造の方とも知り合いで、いま京都醸造のビールも樽でつながっている、と。こちらが明日京都醸造に行くということを話すと、軽く盛り上がってしまい、「では、京都醸造のビールを…」と注文してしまったのです。

すると、グラスに3分の2ほど注いだところでビールが切れてしまい、「これはサービスしますので、新しい樽のビールをお持ちします」とのこと。いやいや、こちらはもともと1杯だけで帰るつもりだったので、そうなるとほぼ3杯。しかも1杯目にW-IPAなんて飲んでるからそこそこ酔っているわけです。これは坊主が相手といえども、きっちり断るしかない。言ってやりました。

「あ、ありがとうございます。じゃあ、いただきます」

きれいな花を咲かせるために

と、ややおふざけ気味で書きましたが、なかなか坊主バーはいい店でした。坊主って感じでもなく、普通のバーの感覚ですね。お酒の種類も多いので、本当に普通のバーとして行ってもまったく問題ありません。

そして帰る時には、「今月のお話です」と、2枚の紙を渡されました。なかなかいい話が書いてあるのです。

「種から初めに出るのは 芽でなく根だ」

どんなことも目には見えないけれども、その下準備の労がある。その労が多ければ多いほど、きれいな花を咲かせる、と。

明日のビール仕込みについては、自分なりにいろいろと下準備してきました。労が多かったのかどうかはわかりませんが、明日やっと芽を出すことになりそうです。

京都に来たらまた寄りたいと思います。坊主バー。