ビール時報

富江弘幸(ビールライター)公式サイト

ヨーグルトばばあ

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10年ちょっと前、中国に留学していた頃はいつも「蓝剑啤酒」ばかり飲んでた私です。

 

中国は物価が安いんですよ、ご存知だと思いますけど。

 

肉まんは1元(約15円)で3つも買えるし、バスはどこまで乗っても基本1元だし、チャーハンは3元だし、オープンテラスの床屋(つまり路上)は5元だし、当然ビールも安いんです。

 

「雪花啤酒」っていうナショナルブランドともいえるメジャーなビールはだいたい1本2元(約30円)くらいだったかな。「うすいッ! 炭酸水かと思うくらいうすいッ!」なんて思ったけど、まあ慣れるもんです。

 

その後、1本3元(約45円)の「蓝剑啤酒」っていうビールを見つけたらなかなかうまくて、それからはいつもそればかり。

 

で、ビールを買っていたのは、留学生寮のすぐ近くにあったちょっとした個人商店。雑貨やお菓子も売っていて、留学生はいつもそこでヨーグルトを飲んでいたんです。

 

と言っても飲むヨーグルトじゃなくて、給食で出てくる牛乳瓶に普通のヨーグルトが入ってるような感じ。それをストローで吸って飲む、と。授業が終わって自転車で寮に戻る時には、必ずそこに寄ってヨーグルトを飲んだもんです。

 

そこの店のおばちゃんがいい人で、いつも笑顔で対応してくれるんですよ。留学生はみんな片言の中国語なのでたまに通じない時もあるんだけど、そのおばちゃんはいつも笑顔。

 

それなのに、その店は店名もないし、おばちゃんの名前も知らないしってことで、「ヨーグルトばばあ」とか「ヨーグルト売るしか能がない」とかみんな言いたい放題(もちろん中国語ではなく)。とはいえ、みんなから愛されていたそのおばちゃん。

 

帰国する時にはみんなおばちゃんのところに挨拶にいっていたように思う。つまりは「ヨーグルトばばあ」ってのも、綾小路きみまろの悪口みたいなもんなんですわ(違うか?)。

 

もちろん自分も帰国前に挨拶しにいきました。流暢とはいえないものの、日常会話はほぼ問題なくなった中国語で。もう10年以上前だから何を話したかはっきりと覚えていない。「寂しいけど、また帰ってきなさい」というようなことを言われたような気がするが、「ヨーグルトばばあ」という呼び名しか覚えていない。申し訳ない。

 

ああ、ヨーグルト売るしか能がないヨーグルトばばあは元気だろうか。

 

さて、なぜそんなことを書いたかというと、今日飲んだビールが中国っぽかったから。アメリカのローレルウッドという醸造所の「レッドエレファントIRA」。

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象を毛沢東に変えてもまったく違和感ないでしょ、コレ。これを見たらふと留学中のことを思い出してしまったわけです。中国→蓝剑啤酒→ヨーグルトばばあという流れ。で、思い出したついでに、留学中に書いていたブログを見返してみたんだけど、これがなかなか面白いんですよね。自分で言うのもアレだけど。なかなかいいビールのつまみになりました。

 

ああ、ヨーグルトばばあは元気だろうか。