なんだかんだ言って鳥大好きじゃないですか 『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』
ビアライターだからってビールが……大好きな私です。
昨日この本を読了しました。 川上和人氏の『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』。
タイトルからして、これは買ったほうがいいだろうと思わせる本なんですが、Twitterでもこの本はクソおもしろいというウワサが流れてきたんですよね。どうも私の敬愛する宮田珠己氏と同じニオイがするんです。
よーし、Amazonでクリックしちゃうぞー、とその勢いのままにクリックすればよかったんですが、「いや、すぐ読みたい! プライムにしてるけど、最速でも明日ではないか。私は今日読みたいのだ!」と思ってしまうと、どうしても書店へ走ってしまうのです。
結果、書店では全然見つからず、ただ走っただけだったりするんですけど。しかも数日。
Amazonで買ったほうが早いじゃないか。
んなことは買う前からわかってるんですよ。でもそれができないのが人間なのです。仕方ない。
ということで、数日後、東京駅の丸善でようやく購入しました。しかも、エッセイとかそのあたりの棚かと思ったら、なんと生物学とかそんなジャンルの棚だったりして、丸善の中でも探し回り、走ってました。
おもしろい文章+学者ならではのエビデンス
そうやって入手したこの本、素晴らしい。
思った通り、宮田珠己氏と同じニオイ。しかし、宮田珠己氏と少々違うのは川上和人氏は学者だということ。文章のおもしろさのテイストは似ているのだが、学者ならではのエビデンスというか説得力ある情報が盛り込まれている。
ある章の冒頭を引用しよう。
突発性カール症候群を発症した。小笠原での調査出張中に強い発作に襲われ、しばらく安静しても収まる気配がない。これはこまった。明治カールが食べたくてしょうがない。
(中略)
駄菓子コーナーの至宝とも言われる明治カールの主原料はトウモロコシ、中南米原産の外来生物だ。彼女に献げる真っ赤なバラはユーラシア大陸東部原産、彼女のヒザで丸くなる子猫は中東原産、ウシもニワトリもイネも小麦も日本ではみんな外来生物だ。外来生物なしに、現代の生活は成立しない。
と、このようにいま話題のカールについての話から(もちろんカールが後からたまたま話題になっただけれども)、外来生物の影響についての話に入っていく。宮田珠己調でもあるが、「おお、そうなのか、さすが学者」という情報が随所に詰め込まれている。
一方で、エビデンスや根拠のない情報もあったりするが、それはそれでなぜか説得力があったりするから不思議。
あなたには、鳥類学者の友人はおられるだろうか。多くの方にとって、答えは否だろう。原因の半分は、鳥類学者がシャイで友達作りが下手だからだ。残りの半分は、人数が少ないからである。
「鳥類学者がシャイで友達作りが下手」という部分はまったく根拠はありません(あるのかもしれないが、示していない)。でも、なぜか「ああ、そうだろうね」と思わせてしまう部分で、こういった根拠のない文章を突っ込んでくる。
とはいえ、そういった分析をしなくても十分楽しめますし、勢いでずんずん読んでしまいますし、そして、生物学のジャンルに置いておくのはどうなんだろうと思ってしまいます。
そんな感じでございまして、はっきり言ってオススメ。こんなタイトルですが、鳥が好きだってのがしっかり伝わってくる本になってます。ツンデレか。